平成25年第3回定例会(9月議会)

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  • ■原発再稼働に反対する意見書の提出を求める陳情

     鈴木(起風会)の判断 ⇒ ×(不採択)
     ※総務委員会、本会議の両方にて反対多数で不採択となっています。


    ≪反対討論の内容≫

    我々起風会としては、原発再稼働に反対する意見書の提出を求める陳情を不採択とする立場となりますが、まず我々は原発再稼働に反対しないからと言って、原発を推進しているわけではない、という立場を理解していただきたいと思います。
    なぜ再稼働に絶対的に反対しないかと言うと、経済への影響や技術基盤の維持のためにも、安全が確認された原発の再稼働は認めるが、しかし、それに合わせて、廃炉や使用済み核燃料の処分を確実に実施する技術の開発や、代替エネルギーの実用化に向けた研究を進めることにより、原発への依存度を徐々に減らしていくべきだと考えているからです。

    本陳情の要望事項は、大きく2つに分けられます。
    1つ目は「原発の再稼働に反対すること」。
    そして2つ目は「政府の対応に改善を求めること」です。

    1つ目の「原発の再稼働に反対すること」については、主な主張は3点ありました。
    ①福島第一原発の事故はまだ収束していない(収束しない限り、再稼働することは許せない)
    ②廃炉や使用済み核燃料の処理に解決策がない
    ③原発が無くても電力は足りている

    1点目と2点目についての解決策は、原発事故を少しでも早く収束させ、更に廃炉や使用済み核燃料の処理を安全に行う技術を確立させることです。
    原発とは、撤退を決めても、すぐに停止できるものではありません。確実な除染方法や使用済み核燃料の最終処分方法など、様々な技術を確立するには、優秀な人材と多額の費用、そして数年から数十年という単位の時間が必要です。優秀な人材をつなぎとめ、継続的な投資を維持するためには、日本が原発技術の第一人者であり続けなければなりません。そのためにこそ、原発の再稼働は必要になると考えます。
    3点目については、経済への影響を考慮していないことが問題だと考えています。
    現在の電力供給は、火力発電のフル稼働により成り立っているので、化石燃料の輸入が大幅に増加しています。2012年の化石燃料の輸入額は24.1兆円に達し、うち原油及び石油製品は14.8兆円、LNGは6.0兆円を占めています。その全てが原発停止の影響とは言うわけではありませんが、2011年と比較して、原油及び石油製品で1.2兆円、LNGも1.2兆円増加しています。2012年の日本の貿易赤字は6.9兆円という状況を鑑みると、化石燃料の輸入増(円安の影響もあるが)により貿易赤字が拡大しているとも言えるわけです。原発停止が日本経済に与える多大な影響を考慮すべきと考えます。

    2つ目の「政府の対応に改善を求めること」についても主な主張が3点ありました。
    ①政府は原発再稼働を強硬に進めようとしている
    ②政府は東電に任せっきりで抜本的対策を取っていない
    ③代替エネルギーの開発に資源と資金を集中すべき

    1点目については、確かにその通りだと思える面もありますが、我々は安全性が確認できるなら原発の再稼働は容認すべきである、との立場であるため、同意できません。
    2点目については、既に対応済みであると考えます。先日9月3日に「政府は汚染水対策に470億円の国費投入を含む基本方針を発表し、『政府が総力を挙げて対策を実施する』と発言、政府主導で対策を進めることが明確になった」と報道されていました。そのため、意見書を出す必要性自体が無くなったと認識しています。
    3点目については、一見誰もが納得してしまう考えかと思いますが、既にある使用済み核燃料や福島第一原発への対応状況を踏まえると、代替エネルギーの開発だけでなく、原発技術の開発や事故収束の対応にも資源と資金を投入すべきと考えます。

    以上のように本陳情の内容を精査した結果、賛同できない点が多々含まれることが分かり、我々起風会といたしましては、本陳情の趣旨には賛同することができませんでした。