令和元年第4回定例会(12月議会)その2

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  • ■第8号陳情
    幼児教育・保育無償化に伴う給食費についての陳情

    ■第9号陳情
    保育園給食食材料費に関する陳情


     鈴木の判断 ➾ 不採択

    12/10福祉文教委員会にて賛成1反対5にて不採択。12/17本会議にて再度審議され賛成7反対14にて結審。

    賛成7名:岡田・田島・山岸(日本共産党)、荒井・村上・武田・いそむら(市民クラブ)
    反対14名:北浜・中山・坂田・池田・角田・川村・梶浦(新政会)、市瀬・つのじ・佐藤(公明党)、鈴木・中田(起風会)、岩佐・榎本(改革稲城の会)

    《判断について》※討論抜粋

    同じく未就学児を今現在育てている親の一人として、じっくりと内容を検討させていただいた結果、至極残念ではありますが、反対の立場となりました。

    この陳情の趣旨を要約すると、認可保育園のみについて給食費、食材費を下げてくれという内容であります。あくまでも認可保育園について安くしてほしい、であることを再度皆様前提にお考えください。

    第8号の陳情理由に「無償化するのであれば「給食費」についても無償化してもらいたい」、また第9号の陳情事項に「食材料費の保護者負担を、市の補助のもと、副食費を4500円にしてもらいたい」とあるが、
    ・稲城市の健全財政を維持しつつ、待機児童対策を優先すること
    ・認可保育所以外の児童、認証保育園や幼稚園、家庭保育との公平性を保つこと
    ・食材費の原則自己負担は、国の方針であること
    ・そもそも、今回の保育無償化にあって、給食費を別出しする手間はあるが、金銭的負担が軽くなった
    ご家庭がほとんどであり、生活補助世帯で6000円未満の保育料を納入していたところはその金額に
    合わせて下げるので、市内でただの1軒も負担が増える家庭はないと断言できること
    といった諸々の点から、少し首をかしげていたところです。

    食育の一環として給食費の無償化を主張されているが、それではお弁当持参の幼稚園では食育はできていないことになってしまうのではないか。幼稚園に通っている私の可愛い娘は、食育がなっていないと言われたに等しいのです。
    食育の推進と給食費の無償化はそもそも別問題であることをまず先述べておきます。

    第9号陳情では「他の自治体は食材費7500円の予算で給食を食べられるのに、稲城市は食材費6000円の給食を食べさせられる。」という趣旨もあった。食材費の全国平均は一人当たり月額約5400円である。
    また委員会における市の答弁でも従来の各保育園所では5000円台前半から7000円台後半までと、保育所によって食材費の支出額はバラバラであったことがわかっている。

    更には「安心で安全な食事を提供するのに、自治体での格差は許されない」とあるが、食の安全を守るのに、市の補助の有無は関係ない。逆に言えば、食材費6000円を保護者負担(別会計)とすることで、保育所は食材費を6000円以上使用して給食を提供しなければならないという縛りが出来るため、多様な用途に使える包括的な補助額を増やすよりも、食材費が6000円以上の、よりこだわった安心で高価な食材も使用することが可能になるという考え方も出来る。

    また第8号、第9号ともに自治体間で格差が生じることを大きく取り上げていますが、市の人口動態、財政状況、インフラの整備状況などは様々であり、そもそもの保育料無償化に踏み切った国、あるいは東京都が一律の方針を掲げ、財源を用意する場合は例外として、自治体間で差がでるのは当然のことである。
    今回議会では手数料や施設、駐車場等の料金改定があったわけで、先ほど討論採決がなされたが、他市に併せるのであれば、多くの手数料類ももっと引き上げなければなりませんし、ごみ処理等含め、地方自治法で認められている各自治体ごとの裁量権や判断は不要ということになる。地方議会の軽視に他ならない。

    隣の芝生は青い、というように他の補助出している自治体に合わせるべきだ!…という気持ちは十分に理解できますし、人気取りや票欲しさのためなら両手を挙げて賛成したいところではある。数千円の差であるが、給食費の補助があるから港区へ引っ越そう、どこどこの街へ引っ越そう、というのであればそれも憲法に転居の自由を許された国民の権利でもある。この稲城市に住むことがその数千円の価値にすら劣ると判断されるのはとても残念だが…。

    話を戻しまして、しかし皆さん、思い出してください。そもそもの市民の願い、優先して解決すべき社会問題は『待機児童の解消』ではなかっでしょうか?すでに認可保育園に入ることが出来た方々に、より財政豊かなまち(或いは市財政等に対する子供の数と収支の割合がより有利な市区町村)を覗き込むより前に、まずは稲城市の中における「保育園に入れた、入れなかった」格差を解消するのが、稲城市議会議員の仕事でしょう。

    そして、使用料・手数料の議案でも言及(令和元年 第4回定例会(12月議会)その1)しましたが、私も稲城市において、子や孫に世代が循環し、未来永劫暮らしていける健全な街にすることが第一義であると考えています。
    保育料が安くなったから給食費も含めてもっと安くしろ、いまさえ良ければそれで良い、将来負担を増やすことには目をつぶる、という考え方はあまりにも現世利益願望が強すぎはしないでしょうか。
    保育無償化前後の、9月以前より10月以降負担が高くなった家庭は一切なく、ほとんどの家庭が保育料無償化を享受しているわけで、食育の推進というならば、その浮いた金額を各家庭が工夫するのが大前提ではないでしょうか。

    また、この給食無償化を本当に推し進めるならば、認可保育園だけでなく、認証、幼稚園、家庭保育、あるいは義務教育である小中学校の給食費にも言及していかなければ当然に市内の不公平を生むことになります。
    そうした途方もない毎年のランニングコストの総額算出、当然この陳情の先の先にある計算として、本日この場にいる議員の皆さんはよくご理解されていると思います。
    税金を払っているから、それ以外はすべて無料の世の中が良いのであれば、それこそ北欧諸国のように高福祉高負担、消費税25%の世界(ハンガリーは27%)にしてやっていくしかありません。そもそもOECDは日本に対して消費税を26%にすべきと言ってきてます。10%への増税反対をしていた方々から見たら、それこそかけ離れた話にもなります。
    高度経済成長期のような右肩上がりの世の中で、パイの配分だけを考える時代ではなくなって久しい今日、いかに皆が一丸となって、今出来る負担は平等に負担し、次の社会を担う子供や孫たちにツケを回さないようにすることが大切なのではありませんか!
    別に、とにかく安く、よりお得に、いま自分たちさえ良ければ、将来にツケを回してよいと考えているならば、この陳情に賛成し、他使用料・手数料関係にも反対を貫かれるのは当然のご判断だとして確りと受け止めておきます。

    稲城市内においての課題である待機児童解消に向けては、苦しい財政の中ではあるが、今後は保育園新設も鋭意見込んでおりますので、起風会としても確りとこれを支援することをお約束し、重ねて、他市に比べて補助が少ないという気持ちは同じ子育て世代として十二分に理解出来ますが、認可保育園ではない幼稚園に通う子の親としてだけでなく、今述べた各種の理由事情、そして『市内における認可保育所以外との子育て世代間の格差助長をするのでなく、公平公正にすべきである』と考え、誠に申し訳ないが賛成はできないものとして討論とします。


    …ちなみに、今回の福祉文教委員会の中で確認されて私自身が驚いた事実をひとつ。

    保育無償化前、これまでの稲城市私立保育園各園において、平成29年度決算をもとに児童一人当たりの月額給食食材料費を算出したところ一番安い園で月額5097円、一番高い園で7771円であり、もともと1人あたり6000円以下の給食食材費であった施設は5つあったとのこと。
    ※そもそも、前回議会におけるほぼ同様な議案判断の際も言及しましたが、稲城市私立保育園園長会が食材費徴収額を当初7500円に設定したのはこの最高額に合わせにいったからなのですが。

    そのうち、今回の各陳情提出にも代表的に関わって(署名差出人)おられた『ひらお保育園』様の食材費は従来、『月額5592円』であったと算出されています。
    今回一律で6000円となった食材料費を支払うのであれば、理論上は従来よりも月額約408円分が、9月までと違いさらに食育の充実として図られるであろうことが期待されておりますので、陳情署名等された保護者方々におかれましては、ご自身のお子さんが通う保育所では従来は月額いくら原価の給食が提供されていたのか確認することをお願いしたいと思います。
    より市政に関心を持っていただくためにも、参考として一言付け加えまで。
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