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- ■野良猫の避妊に稲城市からの助成を願う件に関する陳情
鈴木(起風会)の判断 ⇒ ○(採択)
※建設環境委員会、本会議の両方にて残念ながら賛成少数で否決されています。
≪賛成討論の内容≫
野良猫の避妊に稲城市からの助成を願う件に関する陳情に対し、会派・起風会を代表し、また幼稚園から高校まで、十数年間、南伊豆の海辺の納屋で生まれた猫と共に、飼い主のマナーを試行錯誤しながら暮らしてきた者としまして、賛成の立場から討論をいたします。
本陳情の趣旨を要約すると2点に絞られます。
1つ目は、「野良猫の避妊し地域猫として見守りながら数を減らしたい」ということ、
2つ目は「その一歩として野良猫の避妊に市の助成をお願いしたい」ということです。
私自身、自治会役員として、ご近所問題として発生する「猫の管理問題」にこれまで対応して
きたわけですが、野良猫の問題点は、「頭数の増加により、糞尿や、鳴き声などの被害がひどくなること」であり、頭数が増加してしまう要因は、
① 責任な飼い主による捨て猫の増加
② 責任なエサやりによる猫の集中場所形成
③ 避妊去勢未実施による頭数の増加
など、様々なものが考えられます。
猫自体の個々人の好き嫌いや、実際に被害を受けている方などの問題を100%解決する策は、なかなか難しいわけですが、同問題に対しては「猫の頭数自体を減らすこと」が最も効果的な解決策かと考えられます。
では、頭数を減らすにはどうしたら良いか。その方法は2つに分かれると考えます。
1つはただちにすべての野良猫を捕獲し、殺処分することです。しかし、これは最近の教育現場で力を入れはじめている「道徳」の観点から見てどうでしょうか。
「邪魔なら殺せ」というのはあまりにも殺伐としてはいないでしょうか。
そもそも猫は害獣ではなく、犬と同様、ネズミ等の害獣を駆除したりする人間にとって有益な動物であり、古代よりに人間と密接な共生生活を営むパートナーでありました。
最近ではその役割は主にペットとして人の心に豊かさや愛情を育み、また死を持って命の大切さを教えてくれる存在へと変貌して来ております。それに対し、愛にかける対応はいかがなものでしょうか。
そして方法の2つめが本陳情で求められていることです。
緩やかに、いま生きている個体の生をまっとうさせた上での、避妊・去勢による新個体誕生の抑制です。結果としては断種行為であるわけですが、それでも、その生を見届けるという人として最低限の責務は果たせるものかと考えます。
ただ、避妊去勢手術を実施してもただちに猫が減少するわけではなく、野良猫の寿命である数年間は時間を要し、また費用もかかる根気強い対応が必要とされます。
また、先ほどのべた
①責任な飼い主による捨て猫の増加
②責任なエサやりによる猫の集中場所形成
を繰り返すことで、今後も頭数が増加してしまうようでは、どんなにこの方法を行っても問題は解決しないというデメリットもあります。
このデメリットを解決するには、避妊去勢の助成をするだけでは十分でなく、
・捨て猫を増やさないための飼い主の啓発
・地域で猫の面倒をみるためのボランティアの確保
・近隣自治体も含めた広域的な取り組み
を同時に行う必要があると考えます。
・捨て猫を増やさないための飼い主の啓発
・地域で猫の面倒をみるためのボランティアの確保
については、陳情者により配布された、東京都福祉保健局の「飼い主のいない猫」との共生を目指す街ガイドブックに、「地域での合意形成による、猫の適正管理を実施すべき」
との記述があることからも、陳情者の意図には、避妊去勢の助成と併せて、
これらの対応も実施していく意思が含まれていると受け止めるべきであります。
また、猫の持ち込み・持ち出しを防ぐためにも広域的な取り組みが必要であり、例えば今回の避妊去勢の助成に関しては稲城市を囲む調布市・府中市・多摩市・川﨑市すべてが既に対応済みであり、稲城市域だけが空白地帯である点も問題であります。
これらの前提を踏まえ、避妊去勢助成は、野良猫対策の有効策となり、助成にかける予算の多寡の問題ではなく、稲城市に「本来、人が持つべき明るい豊かな心」を育むためにも、本陳情に賛成することとし、この場にいらっしゃる議員の皆様に温かいご理解をお願いしまして討論とさせていただきます。
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