平成27年第1回定例会(3月議会)

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  • ■稲城市長峰二丁目1-1において進行中の「あすか創建稲城事務所(仮称)」建設計画を認めないことを求める陳情

     鈴木の判断 ⇒ 趣旨採択

    ※委員会での結果は賛同多数にて趣旨採択。賛成(採択)は岡田議員(共産党)、つのじ議員(公明党)の2名。3/30(月)の本会議にて再度審議され賛成8、趣旨採択13にて「趣旨採択」で結審


    ≪委員会での趣旨採択動議の内容≫※抜粋

    ①今回の陳情を採択し、市議会として白紙撤回としても、何の法的拘束力も発生しない点

    ②民間同士(URが完全民営なのかというと疑問符をつける方は当然おられるが)で既に成立してしまった売買契約に対し、民事不介入が鉄則である行政としては違法性が無い限りは撤回の手立てがない点

    ③上記2点の通り採択しても何も効力が無いのに対して、採択した場合には自立型都市を目指し企業誘致を努力していることに対し冷水を浴びせるような悪影響が懸念される点

    ④代替地を行政が提供するのは、市施行の市街地整理事業等に限られている点

    以上4点を鑑みると本陳情は採択し難い、というよりも「採択をしても要望自体が叶うことが無く、かえって禍根だけを残しかねないのでは」という判断になります。
    しかし、今回の件は以下に記す通り、行政側にも大きく問題があると感じ、長峰地区住民の皆様が怒るのはもっともであるとして、私は趣旨採択の立場を取らされていただきました。

    行政側の問題点は、理想型である都市計画マスタープランと、その現実と、期待していた住民との間の「期待値調整」を出来なかったことに尽きると考えます。
    同マスタープランの該当箇所を一読すれば、あたかも生活利便施設・商業施設(ありていにいえばスーパーマーケット等)が設置されるように見えます。それを期待していた住民に対して、突然降って湧いたように、商業施設ではない企業がすでに売買契約済みだとなれば、そりゃ誰だって怒るのは当然のことです。
    ①このマスタープランは「あくまでも誘導目標」であり、都市計画法や地区計画、建築基準関係規定などのように法的拘束力がないことをきちんと理解してもらえていなかった点
    ②誘導目標に沿って商業施設の誘致には取り組んで来たものの、商圏力等の問題から事業者側に手を上げてもらえなかった、それを住民に逐次状況報告していなかった点
    以上の2点は行政側として大いに問題視すべきことであると指摘し、反省の回答がありました。

    また、担当部長より「設置に向けた条件闘争(通学児童の安全性確保、生活利便機能の補填など)に関しては全力で支援していく」との回答も得たので、この住民と企業との話し合いの場を行政がしっかりと後押しすることが本分であろうと併せて要望しております。

    今後、このように住民の皆さんの期待を裏切るような事案があってはいけません。
    耳障りの良いことばかり書き連ねてはいけません、それが出来ないことであるならばはっきりと計画の失敗をを認め、どう訂正し、より良い改善に向け理解を得ていくかが重要です。

    改善すべきは都市計画マスタープランの中身も勿論のこと、もうひとつは『八方美人』『玉虫色』で住民のご機嫌取りをしようとする「下心」です。
    …下世話なことを言えば、選挙等の事を考えれば「住民の気持ちに寄り添って採択しよう!」と耳障りの良い事を私だって言いたいです!けれど、それをしたところで今回の件は繰り返しになりますが、陳情内容である「白紙撤回」が法的にも困難であることに変わりはありません。
    採択をするというならば、南山土地区画整理事業の際もそうでしたが、実現可能な施策をしっかり提示出来ねば単なる「無責任議員」に成り兼ねません。
    ※南山の件では「市が土地を全て買い上げれば良い」という極論もありましたが…。

    「気持ちに添いました=良い議員」かどうかのご判断は皆様に委ねます。
    2015年3月16日の建設環境委員会において、傍聴にお越しいただいた大勢の関係住民の皆様、そして一部の方々からは大変厳しいお言葉を頂戴したことは私自身もしっかりと胸に刻み込み、今後活動していく上での教訓にして参ります。
    ご意見をいただいた方々にこの場をお借りして感謝申し上げます。




    ★追記の追記:
    余談ではありますが、過去には「若葉台小学校↔なかよし校舎間の市道を、児童の安全に配慮して廃止すべき」との陳情が出され、議会が真っ二つ(伊藤ちかこ議員が採決を欠席したことで10対10)となり、議長判断で採択されたことが記録にありますが、その後の経過を見ると「議会で採択したが、実現不可能(市長判断)」とのことで何の手立ても無いまま終わっていました。
    市長部局の判断で撤廃することも可能な市道ですらどうにも出来なかったことには、市議会の権能に対しても強い疑問符がつくところですが、今回の件は国法である民法、建築関連法を覆すということになり、法治国家の中にあっては厳しいことが明白です。
    市議会に与えられている権能が何であるのか、改めて議論する必要があります。